包茎手術体験記 No.3〈診察〉

胡散臭い医者には高額な治療費がつきもの

 

 当日、朝から落ち着かない気分で午前の予定を済ませ、クリニックへ向かった。外装はクリニックらしく小綺麗で、中に入ると良い感じの黒いソファがあり、落ち着いた雰囲気が漂っていた。完全予約制で鉢合わせはないとの事だったので、特に気負う事はなかった。だから、雰囲気に気圧されるだけで済んだ。

 受付の男性は、若々しく爽やかで気持ちの良い対応であった。間違いなく自分より一回りは年上だが、数歳しか離れていないように錯覚するほどのお兄さん感である。

 

 用紙に必要事項を記入しながら雑談をした。記入事項に、包茎の種類を選択する欄があり、カントン包茎に〇を付けた。そう、自分はカントン包茎なのである。

 カントン包茎は、包皮口が狭いため皮を剥くと締め付けが発生するタイプの包茎である。自分は、診察した先生によると「うん。カントン包茎だね。典型的な普通のやつ。」だそうだ。あっさりしすぎてて胡散臭いが、明らかに慣れている様子は信頼できそうで、複雑な気分である。

 診察の時は、陰部を出す事に抵抗を感じるかと思ったが、先生のあまりにも当然のような振る舞いに、恥ずかしさを感じる余地すら存在していなかった

 

 その後、様々な説明を受けた。包茎の種類治療費といった基本的な事から、保険適用内での治療も可能だが仕上がりが異なる事、洗えるのであれば包茎の治療は必ずしも必要ではない事など、十分に信頼に足る対応なのだと思う。

 ただし、自身満々に歯切れよく喋る医者は、いかにも優秀そうで、どこか胡散臭さが漂っている。裏では、とんでもない事をやっているのではないか。信用させておいて、実はオプションをたくさん付けて自分をカモにしようと企んでいるのではないか。疑心暗鬼である。

 杞憂なのだろうが、警戒しておくに越した事は無い。金と皮が懸かっているのだから。

 

 まあ、ともかく。目的は手術である。

 

 約40万円という学生の自分にとっては高額な治療費に一瞬躊躇したものの、事前に調べていた相場感で言うと、法外ではなさそうだったので了承した。

 

 そうして、診察後すぐに、その場で手術を受ける事となった。